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第98話 優しい嘘

作者: あるて
last update 最終更新日: 2026-01-23 14:00:51

「それでこれからゆきちゃんの入浴シーンを隠し撮りしに行くんですか?」

「ぶっ飛ばすぞ」

 本当に努力する気あんのか? こんなのが日本の歌姫なんてなぁ……。

「なにか気になることでもあるの? より姉」

 ひよりはさすがに鋭いな。伊達に姉妹やってねーか。

「あぁ。ゆきのことなんだけどな。なんであいつはああも恋愛に対して頑ななんだろうなと思ってな」

 もうすぐあいつも16歳だ。そろそろ恋愛に興味くらい持ってもおかしくはねーと思うんだが。

「そうですね。いくら初心で奥手で、おそらく女子よりも男子に人気のありそうなゆきちゃんと言えど変かもしれません」

 容赦ねーな、楓乃子。

「わたしもゆきちゃん以外に興味がないのを除いて、お仕事が忙しくて恋愛どころじゃないって思うこともありますからそのせいでは?」

 確かにゆきは学校では生徒会長、家では家族の世話に配信活動とそんじょそこらの芸能人より忙しくしてるけど、本当にそれだけか?

 それを考慮してもあの拒絶の仕方は普通じゃねー気がする。

「やっぱり何か隠してる」

 茜の言うとおり、ゆきはきっとまだ何かを隠している。あの海へ行った帰りの電車内のことが頭をよぎる。

 ゆきの世界には色がない。後天的なものだと言っていたからきっとあの雪の日の後遺症に違いねー。さすがにこのことを他の姉妹に言うわけにはいかない。これまでゆきが隠し通してきたことをあたしにだけ打ち明けてくれたってことは、あいつにとって何か意味があると同時にあたしのことを信頼して言ってくれたことだろう。その信頼を裏切ることはさすがにできねー。

 もしかして後遺症は目だけじゃないんじゃねーだろうか。ゆきの異常なほどの運動神経、反射神経、動体視力や空間認識能力、それに身体能力。そして色覚異常。全部神経にまつわることばかりだ。神経系の異常……。だめだ、あたしには詳しいことは分かんねー。かといって相談するわけにもいかねーし……。

「そんなに考え込んでどうしたの?」

 ひよ

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